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小説家になるには?

夢を追いかけている人のためのブログです 小説の創作方法や文章の書き方などを考えていきます

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5.提示と叙述
提示
 語り手が介入して説明したりせず、黙ってあるがまま示すこと
 登場人物の会話がそのまま記録・報告されている部分

叙述
 語り手が前面に出てきて、出来事や状況、人物の言動や心理、動機などについて、読者に対して解説すること
 語り手の要約

物語の序盤、李徴が失踪した顛末について叙述されています。
袁傪が虎に襲われる場面から、提示へと移行し、時々叙述が混じります。

一筋縄ではいかないのが、李徴の語りの部分でしょうか。
李徴を語り手とすると叙述が混じりますが、「三人称の語り」とすると提示になります。

6.時間
アナクロニー
 ストーリーにおける出来事の順序とプロットにおける出来事の順序が合致しないこと
A.後説法
 出来事の継起を語っている途中で過去の出来事や場面に移行する方法
 フラッシュバック
袁傪は李徴と同年に進士の第に登り、友人の少なかった李徴にとっては、最も親しい友であった。
B.先説法
 まだ生じていない出来事を予知的に示す方法
 ラッシュフォーワード
後で考えれば不思議だったが、その時、袁傪は、この超自然の怪異を、実に素直に受容れて、少しも怪もうとしなかった。
時間標識
 時間を特定する材料となる具体的情報

『山月記』の場合、李徴が官吏の試験に合格したのが、天宝の末年です。
天宝は、 中国 ・ 唐 の 玄宗 の治世後半に使用された 元号 。 742年 - 756年。

物語の速度
A.省略法
 ある期間を省略して、一気に飛び越える方法
 物語は無限の高速度で進む
 省略された時間が指示される場合を「限定的省略法」、
 特に指示のない場合を「非限定的省略法」という。
B.要約法
 数日間や数か月、あるいは数年に及ぶ生活を、行動や会話などの詳細を抜きして、数段落や数ページで要約する方法
C.情景法
 物語の場面が劇的に提示され、理論上、物語内容の時間と物語言説の時間の速度が等しい場合
D.休止法
 語り手が物語の流れを中断させて、語り手としての特権を行使し、物語のその時点では登場人物がだれも見ていないような光景や情報を示すやり方
 速度はゼロになる

天宝の末年、若くして虎榜に連ね、
.
いくばくもなく官を退いた後は、
.
数年の後、貧窮に堪えず、
.
一年の後、公用で旅に出、
.
或夜半、
.
翌年、監察御史、陳郡の袁傪という者、
.
次の朝まだ暗い中に出発しようとしたところ、
.
時に、残月、光冷やかに、白露は地に滋く、樹間を渡る冷風は既に暁の近きを告げていた。
.
ようやく四辺の暗さが薄らいで来た。木の間を伝って、何処からか、暁角が哀しげに響き始めた。
.
虎は、既に白く光を失った月を仰いで、
.
省略法と要約法によって、李徴が失踪する顛末が語られます。
袁傪が虎に襲われる場面から、物語の速度は緩やかになります。
李徴の語りを主軸として、情景法によって物語が語られていきます。

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訂正。
その3の時に袁傪が視点と書いたりしましたが、後に語る焦点化という部分と混同したためです。

3.語り手
語り手が物語世界の外にいる場合は、「三人称の語り」といいます。
『山月記』においても、李徴、袁傪と三人称で語られているため、「三人称の語り」に分類してもいいと思います。
1段落目、「三人称の語り、外的焦点化」
2段落目以降、「三人称の語り、袁傪による焦点化」といえると思います。
途中、李徴の語りに入る際に、自分、己(おれ)と、「三人称の語り」から、李徴の「一人称の語り」に交代しながら進んでいるように思うかもしれません。
李徴の語り部分は自身の心情などは一切なく袁傪に語った内容に終始しており、鍵括弧の省略と考えると「三人称の語り」を維持しているといえます。

枠物語
李徴の語りが度々挿入され、枠物語とまったくいえなくもないかもしれません。

信頼できない語り手
李徴を語り手とするかは議論が必要ですが、李徴が語り手とすると信頼できるとは言い難いです。
虎になった夜の話に若干の差異があります(後述)。
人食い虎となり、一日に数時間しか人間の思考にならないといいます。
旧友に会い、頼み事をきいてもらいたい立場です。

4.焦点化
語り手が語る内容は、見たことだけでなく、聞いたことや考えたこと、推測したことなど、さまざまな認識手段による多面的情報が含まれます。また、語っている人の位置と、眺めている人の位置とは、必ずしも一致するとはかぎりません。
語り手は、別の人が見たことを語ることもあります。

誰が語っているか、誰が見ているかという問題を区別し、「見る」という行為を「焦点化」という概念で規定しています。
見ている主体を「焦点人物」と名付けました。
「全知の語り手」の声で語られていても、つねに外的焦点化が起こっているとはかぎらず、内的焦点化の方法で語られている場合もある。
焦点人物が変わってゆく場合を、「不定内的焦点化」という。

『山月記』においては、袁傪に焦点が当てられ、李徴の語りでは李徴に焦点が当てられています。
同じ出来事が複数の焦点人物によって語られる場合を「多元内的焦点化」と呼ぶ。
同じ出来事が二度語られている場面があります。
李徴が虎になった夜のことです。
一年の後、公用で旅に出、如水のほとりに宿った時、遂に発狂した。或夜半、急に顔色を変えて寝床から起上ると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま下にとび下りて、闇の中へ駆出した。彼は二度と戻って来なかった。
今から一年ほど前、自分が旅に出て如水のほとりに泊った夜のこと、一睡してから、ふと眼を覚ますと、戸外で誰かが我が名を呼んでいる。声に応じて外へ出て見ると、声は闇の中から頻りに自分を招く。覚えず、自分は声を追うて走り出した。
李徴の視点から、虎になった夜が語られます。
叫んだ部分が語られていません。無意識に叫んでいたため覚えていないのか、一年経ったことで忘れてしまったのか、些末だと考え省略したのか、都合が悪くてあえて語らなかったのかは分かりません。

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前回、ストーリーとプロットについて並び変えてみました。

謎やサスペンスが生まれていたわけです。
何故、虎になってしまったのか。
初め、李徴は虎になった日のこと、虎としての生活を話しました。
虎になった理由は分からないと答えます。
しかし、袁傪が詩を記録してくれると、思い出したかのように虎になった理由について、思い当たることを話し始めました。

構成上、仕方ないのかもしれませんが、虎になった時に、あれだけ虎になった理由が分からないと答えたのに、詩を読み上げた後に語りだすのは少しだけ不思議に思わないでもないです。
少し理由を考えてみようと思います。
・本当に思い出したり、思いついたりした。
・虎になった理由を話すと詩を記録してくれなくなるかもと心配して、後回しにした。
・詩を記録してくれたことで、妻子のことを思い出し、これをお願いするには虎になった理由も話しておかないといけないと思った。
・作者が書いている途中に思いついた。
私の邪推という感じもしないでもないです。

3.語り手
一段落目は李徴の心情なんかも書かれつつも、少し李徴と距離があるように感じます。
二段落目からは、ほぼ袁傪の視点で書かれています。
李徴の独白という形で、李徴の過去や心情が語られます。
袁傪が聞いた話とするなら、一貫して視点は袁傪だと言えなくもないです。

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『批評理論入門』を参考にして、『山月記』を考えていこうと思います。

1.冒頭
「隴西の李徴は博学才頴、天宝の末年、若くして虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃む所すこぶる厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。」
 冒頭の一文です。
 勘のいい人なら、「人虎伝」と関係していることにも気づくのでしょうか。
 天地人の全ての説明をやっており、テンポもよく、声に出したい日本語だと思います。

 詩業を志すも上手くいかず、お金がなくなり官吏として再び働き始めました。
 かつてバカにしていた者達の下で働かなくてはいけなくなり、発狂して失踪してしまいます。

2.ストーリーとプロット
 ストーリーというのは出来事を「時間順」に並べた物語内容です。
 プロットとは、物語が語られる純に出来事を再編成したものを指します。

プロット
1.天宝の末年、李徴は科挙の進士科を合格する。
2.江南尉に補せられる。
 詩家になろうと仕事を辞め、詩を作る。
3.生活が苦しくなり、再び働き始める。一年が経ち、汝水へ出張する。
4.李徴、失踪する。
5.翌年、袁傪は部下を連れて出張に出かけた。
 人食い虎に襲われるが、虎がかつての友人李徴であることに気づく。
6.袁傪と李徴は同年に進士科を合格した。友人の少なかった李徴にとって、最も親しい友になった。
7.李徴と話をする。李徴、虎になった経緯を話す。
8.夜中に自分を呼ぶ声が聞こえ、追いかけてみる間に、虎に変身していた。
 人食い虎としての生活が始まる。
9.李徴、袁傪に覚えている詩を記録して欲しいとお願いする。
 今の心境を詩として読み上げた。
 李徴、虎になった理由を推測して話し始める。
10.詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交わって切磋琢磨することはなかった。
11.虎になった今、胸を灼かれるような悔いを感じる。
12.李徴、妻子のこともお願いする。
 李徴と袁傪が別れる。

ストーリー
1.天宝の末年、李徴は科挙の進士科を合格する。
6.袁傪と李徴は同年に進士科を合格した。友人の少なかった李徴にとって、最も親しい友になった。
2.江南尉に補せられる。
 詩家になろうと仕事を辞め、詩を作る。
10.詩によって名を成そうと思いながら、進んで師に就いたり、求めて詩友と交わって切磋琢磨することはなかった。
3.生活が苦しくなり、再び働き始める。一年が経ち、汝水へ出張する。
8.夜中に自分を呼ぶ声が聞こえ、追いかけてみる間に、虎に変身していた。
 人食い虎としての生活が始まる。
4.李徴、失踪する。
11.虎になった今、胸を灼かれるような悔いを感じる。
5.翌年、袁傪は部下を連れて出張に出かけた。
 人食い虎に襲われるが、虎がかつての友人李徴であることに気づく。
7.李徴と話をする。李徴、虎になった経緯を話す。
9.李徴、袁傪に覚えている詩を記録して欲しいとお願いする。
 今の心境を詩として読み上げた。
 李徴、虎になった理由を推測して話し始める。
12.李徴、妻子のこともお願いする。
 李徴と袁傪が別れる。

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一つの作品について、くわしく調べてみたいとずっと思っていました。
正直、ブログの書くことが全然思いつかないので、新しく始めてみようと思います。

今回、目を付けた作品は、中島敦の『山月記』です。

二十一段落で構成されています。

1.李徴という人物の説明。
 昔の中国の話だと分かる。
 李徴が突然失踪した事件が起こる。

2.一年の時間が飛ぶ。
 袁傪という人物の登場
 虎に襲われる事件。何故か襲うのをやめてしまう。
 人の言葉を話す虎。声に聞き覚えがあった。
 袁傪と李徴の関係。

3.虎が李徴であることを認める。

4.袁傪が虎が隠れた叢に近づく。
 虎は姿を隠したまま話を聞いてほしいと頼む。

5.二人は色々な話をする。
 どうして虎になったのか訊く。

6.【李徴の台詞】
 虎になった日について語る。
 虎としての生活。
 李徴が一つ、頼みごとをお願いする。

7.話を聞いていた袁傪の様子。

8.【李徴の台詞】
 今も暗記している詞を記録してほしい。

9.袁傪、李徴の詞を聞いて記録する。
 詞の感想。上手いけど、何か物足りない。

10.終わると何故か自嘲気味の李徴。
11.【李徴の台詞】
 虎になっても、詩人として大成した自分を夢に見る。

12.即席の詞を読み上げる。

13.風景描写。もうすぐ日が昇ろうとしている。

14.【李徴の台詞】
 虎になった理由。思い当たる。
 詩人として名を成そうとしていた李徴の心情。
 「臆病な自尊心」「尊大な羞恥心」

15.明るくなってきた。時間経過。

16.【李徴の台詞】
 最後に、もう一つだけ頼みたい。
 妻子のこと。

17.袁傪、李徴の頼みを引き受ける。
 李徴、また自嘲的に言う。

18.【李徴の台詞】
 詞より妻子のお願いを先にすべきだった。

19.【李徴の台詞】
 帰り道に、この道を通らないでほしい。
 次は襲ってしまうかもしれないから。
 もう一度、君に会う気を起こさせないよう姿を見せよう。

20.袁傪、別れを告げ、馬に乗って出発する。

21.離れて振り返ると、虎が吠え、身を隠し、二度と姿を現すことはなかった。

二段落目と三段落目に少しあるだけで、会話を示すかぎかっこがほとんどありません。
ほとんど李徴の独白なのが面白いですよね。
最初なので、このくらいにしておきましょうか。

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http://blog.livedoor.jp/nwknews/archives/4390476.html

以下、内容

3、自分
5、語り手
75、未来の自分
8、読者
12、犯人はヤス
17、解決編に入って初めて登場するキャラ(悪い意味で)
34、キャラ紹介枠
43、最初に殺された被害者
55、ヒロイン
66、一度疑いを晴らしたキャラ
76、最初の方に出てくる真面目そうな人
84、SAWの死体
96、ラスボスの中にラスボス
129、善良で真面目そうな人、主人公の協力者ないし友人、探偵物の依頼者
140、モテない主人公に好意を寄せてくる女性
135、モブ
241、主人公以外全員
247、仲間だけど怪しかった人
305、カメラマンが犯人
315、黒幕がいっぱい

こうして見てみると、犯人以外に物語での別の役割がある人物は疑われにくい、という心理がありますね。

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究極的にいえば、

1.実際にあるもの

2.実際にはないもの

という愚案になるはず。
2を描写できるのが、小説最大の強み?

○おまけ

1.実際にある状況
 日常(ラブコメ、ミステリ)
 時代物、歴史物
 

2.実際にはない状況
 ファンタジー
 SF、タイムスリップ
 非日常(ホラー)
 
 

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